『サウザンドリィリの森にランダムで転移しました。
それでは、順位決定戦 開始です!』

通信機から実況者の声がしたが、そこからは通信が途絶えた。

ここからは小隊としか通信機が使えない。

「さてと……とりあえず拠点となる場所を見つけるか」

堺人がそう言い、歩き始めた。

サウザンドリィリはとにかく木が生き生きとしている森であり豊かである。

それにともなって危険な魔獣が多くいる。

「昔はここは1つの街だったらしいんだけど700年前の植物の異状によって街は飲み込まれて今にいたるんだって。」

アーミャが周りを見ながら言った。

そう。サウザンドリィリの森は元々豊かな街であった。

その街の名はリィリ。そして、リィリを中心に周辺にあった千もの街や村が飲み込まれている。

実際に歩くと所々に建物らしき後は残っていた。

歩き続けると1つの洞窟があった。
中を見るとまだ続いているようで奥は真っ暗だった。

「とりあえずここにするか、近くに小川もあるし遠くからは分からないしな。」

堺人が言うと燐たちは頷いた。異論はないらしい。

「紅葉と柳は周辺の偵察。カインは見張りを。1時間ごとに交代しよう。」

そういって、紅葉と柳は木と木を飛びながら消えた。

「アーミャ。」
「はいよー」

突然、燐はアーミャを呼ぶとアーミャは頷いて右手をかざす。

「なにするんだ?」

堺人とカインは訳がわからなく首をかしげていた。

「「ラナクラルラ・アクステルフ」

と、燐とアーミャは呪文のような言葉を言う。

しかし、堺人とカインは何を言っているのか分からなかった。

「……よし。これは私とアーミャが作った魔法。ある範囲の外からは私たちの姿は見えないようにしてある。」

偵察からの察知はとりあえず避けられるだろう。
と考えた燐とアーミャは洞窟の周辺にその魔法を張っていった。

「作ったって……すごいな……」

堺人は言葉がでず、途切れ途切れ言った。