『燐、援護します。』
グランドの一部を借りて対抗戦を始めて1時間たったがまだ終わらない。
そんな中、紅葉が燐の相手をしているアーミャと堺人に向けて魔法を放つ。
小隊のなかでよく知る、アーミャと堺人が相手だと流石の燐も苦戦中。
「おっとー。危ない危ない!」
(軽々と避けられました!!!)
アーミャは何も無かったような顔をするものだから、紅葉は少し涙目になる。
だが、1番と2番に別けたかいはあった。
それぞれチームワークがとれてきている。
成果は早くもでている。
「おい!そこのEランク、ここからどっかに行け!今から俺たちが使う!」
いきなり、男8人の小隊がわってはいる。
「……あのー。まだ私たちが使う時間ですが……」
紅葉は時間を確かめて言う。
対抗戦も長くなるだろうと長めに時間をもっているので、あと1時間は使えるはずだ。
「うるせぇEランクが口答えするな。しかもお前平民じゃねぇか、貴族に向かってなんだ?その口の聞き方は?ぁあ?」
そのことにカチンとくる燐たち。
ここで、揉め事をすると出場できなくなる。
しかも、男8人全員貴族だ。揉め事をすると余計に厄介なことになる。
「……わかりました。行こう。」
燐は男たちに気づかれないようため息をついて堺人たちの方をむいた。
「なっ……けどよ。」
ここには№2と王族がいるわけだから抵抗はできる。
しかし、燐は首をふりテレパシーで頭のなかで語りかけた。
『今は我慢して。いくら王族がいようと私たちはEランク小隊にかわりはない。ルールじょう揉め事は1番避けないといけない。』
『それにうちらより学年は上だしランクも上だよ?今抗うと後々めんどいことになるしね。でしょ?燐』
アーミャはあえて燐の思いそうなことを呟く。
燐も苦笑を混じらせながら頷く。
「……わかったよ。」
そういってカインは無表情のまま男たちの前を通りすぎた。
「ふん、分かってるじゃないか。孤児は賢いな。」
男たちは燐の制服を見てあえて孤児はと言って笑う。
「あんたたちみたいに親の成果を自分のものだと威張らないんでね。」
と男たちには聞こえない声でアーミャは呟いた。
「ほんと、バッカみたい。」