「燐?誰かいるのか?」
声が聞こえたらしくドアの前まで堺人が来ていた。
「誰もいないよ。ごめんちょっと怖い夢見ただけだから。」
「そっか、なんかあったら言ってくれ。」
「うん。ありがとう。」
そして、堺人は自分の部屋に帰った。
陰は慌てる様子もなく燐に人指し指を上に向けて合図をする。
グリムズのときによく使っていた合図だ。
燐はコクと頷き、グリムズの制服に着替えその上にカーディガンを着る。
グリムズの制服はノースリーブに身軽重視の服なので、生地が薄い。
秋とはいえもう夜は冷える。
陰と燐は部屋の窓から寮の屋根へと移った。
燐たちの部屋は1番上の階なので誰にも見られない。
「で、どうしたの?」
燐は屋根に座り陰に聞く。陰も座り話しだす。
「荒川が生きてる可能性が出てきた。」
陰の言葉に燐は目を開き、まさか…と思う。
「ハーメルンのこと調べてまとめてたら、おかしなことが分かった。」
「それが、薬の量が暗殺前と違ったんだ。増えてるんだ。」
そこに陽の声が聞こえた。振り替えってみると、陽と薬がいた。
陰と陽は情報収集班ではドップに入る強者だ、陰と陽の言っていることはほぼ間違ってないだろう。
「増えてる……他の人が作ったとかは?」
「それはないよ。僕もやってみたけど作るのに3ヶ月もかかったよ。その薬が1ヶ月単位で3倍してる。」
「しかも、荒川に弟子は1人もいない。変じゃない?」
と、燐の考えを薬と陽は否定する。
薬はコードネームの通り薬(くすり)についてとても詳しく、グリムズ1の薬剤師でもある。
毒を作るのもおちゃのこさいさい。
そんな薬が3ヶ月もかかるということは、他の人は作るのも難しくできない。
それを1ヶ月単位で3倍は荒川以外にいないだろう。
「そこで、双可の音響追跡で確かめてほしんだ。」
音響追跡 双可の片割れ可鈴がもつ能力で、跡音という目に見えない目印をつけその目印を探す魔法。
影隠を使った蜘夜を攻撃できたのはこれのおかげだ。
「いいけど、楓は?」
薬といつも一緒にいる楓がいないことを不思議に思っている燐に薬が答えた。
「蝶を呼びに行ってる。」
「今日は起きないかもね。」
カインの巫女杖を使うたびに消耗しているアーミャだ。今日のカインの罪はよけい消耗する。
すぐに起きるとは思えない。
「とりあえずしてもらってもいいかな?」
薬は やれやれ と思いながら燐に頼む。
アーミャのことはみんなよく知っている。



