「……あっ、お帰り。」
燐たちは会場の外にいた。
「ただいまー」
アーミャは少し疲れた様子で帰ってきた。アーミャらしくない表情だ。
「お疲れ、あまり無茶すんなよ。」
「うん。ごめん。」
カインがアーミャの手を繋ぐ。
アーミャはホッとした様子だ。
「そういえば、カインの巫女ってのは?」
柳は疑問を口にする。
アーミャの詠唱の中に、カインの巫女 と言う言葉が出てきた。
「あーそのままの意味。うちは、カインの巫女だよ。」
笑えていない笑顔でアーミャは説明を始めた。
「まず、ここにいるカインは人類最初の殺人カインの生まれ変わりなんだよね。」
燐、アーミャ、カイン以外の3人は目を丸くする。
人類最初の殺人。
……昔々カインとアベルという、兄弟がいました。
カインは農耕を、アベルは羊を放牧するようになりました。
ある日2人は各々収穫物を神様に捧げました。
カインは収穫物を、アベルは肥えた羊の初子を捧げましたが神様はアベルの供物に目を留めカインの供物は無視しました。
「嫉妬にかられたカインはアベルを殺しちゃうんだ。」
アーミャの言葉に何も言えない堺人たち。
それもそうだ。その生まれ変わりが目の前に同じ名前の人物がいるのだから。正直信じがたい。
「例え生まれ変わりだとしても、弟を殺すことは繰り返される。勿論アベル(弟)の生まれ変わりをね。」
アーミャは片目を閉じて苦笑いをする。
「それではカインの弟さんがいると…?」
紅葉は何とか声に出す。
クーイ国の王子は6人、カインは第4王子。
勿論弟がいるわけだ。



