「グラビティ 超増大。」

神無月はアーミャを中心にその周辺の重力を変える。

「わっ!以外ときついね。」

アーミャは防御もせずその身に受ける。
しかし、足をつくことは今のところ無い。

(耐えられるの?)

神無月は耐えているアーミャを見て、動揺する。
アーミャが初めてグラビティの重力変化に耐えているのだからだ。

「カインの略奪」

アーミャは今まで使っていた魔法を杖に込めて発動する。

それに気づいていたらしく、神無月はもう違う場所へと移動していた。

数秒後、神無月がいた場所に何かが落ちてきたように床が沈む。 

「やっぱ、ダメか~」

アーミャはニヤッと笑い身体を緩くした。
それを見た神無月や珠南、観客は驚いた。
アーミャはそんなことも気にせず目をつむり、何かに集中し始めていた。

「…………カインの嫉妬を我が力にせし、
           この身に刻印を……

    カインの罪   」


………………………


アーミャが詠唱を終えるが何もおらなかった。
それによりいっそう警戒している、神無月。

アーミャの使う カインの巫女杖 は実に100年振りに姿を表し、カインの巫女杖についての文献ものこっていない。

どんな魔法を使うかも未知である。

「くっ…」

すると、アーミャが苦しそうな表情を見せる。

だがそれは、ほんの少しですごく苦しいわけではない。

「えっ……なにこれ……」

神無月は突然震えだした。それに、驚く観客たち。

なにが起こってるのか全く分からなかった。

「リッ………リタイア」

神無月は杖を戻し両手をあげ、リタイアの意味をさす。

『なっ……なんと神無月選手がリタイア!!!!!よってアーミャ・ルグアス選手の勝ち!!
よって、杖使用魔法部門の勝者はアーミャ・ルグアス選手です!』

「やったね!」

試合が終わるとさっきの表情とは変わってうれしい、楽しそうないつもの表情に戻っていた。