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扇は教室を出て階段を何段か降りたとき

「凪……」

目の前には夕凪がいた。
夕凪も悲しい顔をしていた。

「アーミャは…」

夕凪は扇に問う。

「泣いてる…何年ぶりに見たかね。」

アーミャは普段の性格からと言ってもいいほど、笑顔が絶えない子である。

そんなアーミャがグリムズのとき1回だけ泣いたことがあった。

それと同じぐらいアーミャは泣いていた。

「先輩…もう我慢しなくてもいいじゃないですか?」
「…なにが?」

扇がしらをきるが夕凪はお見通しだった。

「燐たちがいないんですから。泣いてもいいんじゃないんですか?」

「ハハ…凪には…隠せないね…ほんと…に…」

そこで、とうとう扇も涙がでた。
夕凪は扇の背中をさする。

燐やアーミャの前では平然としていようと思っていたのだろう。

周は扇の親友であり同じ班の仲間である。
しかも、幼馴染みでもある周とは長い付き合いだ。
それだけ……つらい。

「……ごめん。もう大丈夫。」

だが、グリムズで育ちいくつもの戦場にいったり暗殺もしている扇だ。
いつまでも、泣いていられないのだ。

「あとはアーミャですね。」

夕凪は心配そうに教室のある方を見る。

「大丈夫よ。蝶には殺がいるし、第2の仲間もいるんだからね。」
「そうですね。……それで、先輩」
「ん?」

扇の話を聞きながら夕凪は口を開いた。

「ここでは、コードネームはタブーです。」
「あっ…つい!」

扇は あっ! と思い出し頭に手をやる。

「もう。先輩ったら…」

それにあきれる夕凪であった。