「おはよう」
声をかけたあの日から
俺は藤沢に話しかける努力をした。
…でも、どうやら俺には
“普通に”話しかけることが出来ないらしい。
「ふっ、藤沢……!」
声をかけると、藤沢がくるりと振り返り俺の方を見る。
「どうしたの?」
首を傾げる、目の前の藤沢の可愛さにやられる。
緊張は半端ない。
というか、なにを話せばいいんだ。
話しかけた瞬間
吹き飛んでいった俺の考えた数々の台詞たち。
そんな俺が、咄嗟に言った言葉は
「お前って、いっつもニコニコしてて気持ちわりぃよな」
「………は?」
後から聞こえた藤沢の怒り気味の声に、俺はしまったと思った。
……どうやら俺は
とんでもない天の邪鬼みたいなんだ。

