『次に、種族の設定をします。人間が属する人族、猫人や兎人や狼人などの獣人族、エルフやドワーフなどの精霊族、天使や悪魔などの天翼族、ドラゴノイドなどの竜人族から選択できます。なお、種族に応じてステータスの振り分けが行われます。人族はバランス型、獣人族はHPが多めでMPが少なめ、精霊族はHPが少なめでMPが多め、天翼族は支援特化や近接特化など極端な偏り型、そして竜人族は生産スキルが獲得不可能ですがそのかわりHPとMPが他種族と比べて圧倒的に多い、という特徴があります。人族以外の種族を選んだ場合、種族度数を1から
100まで設定でき、100に近いほうがより種族の特徴が出やすくなります。以上になります』

ふむふむ。

まあ、以前TSOのサイトを覗いた時に書いてあったままだな。

最後に言ってた種族の特徴ってのは、もし猫人を選んだ場合、100と設定したら顔がまんま猫に、1と設定したら猫耳や尻尾が生えるだけ、とかそんな感じだろう。

そういえば、サイトに『TSOでのプレイ中は時間経過が極端に遅くなります。TSOでの1日は現実世界での2時間に相当します。最大ログイン可能時間は現実世界の6時間まで、つまりTSOでの3日に当たります。最大ログイン可能時間を過ぎた場合、強制的にログアウトしていただきます。これはユーザーの安全を考慮してのことですのでご配慮ください』とかなんとか載ってたな……。

VR技術も進化したよな〜。

「ま、無難なのは人族だろ。『人族』っと」

『了解しました。次に、スキル設定に移ります。その前にステータスについて説明させていただきます。TSOではキャラクター自体のレベルが存在します。そして、『スキル』と呼ばれるものにもレベルが存在します。レベルが上がるにつれて、キャラクターに上位補正がかかります。スキルにはPS(パッシブスキル)やAS(アクティブスキル)の二種類があります。スキルを獲得したときには、ぜひステータス画面を開いてご確認ください。そして、生産スキルはMPを消費しません。以上です。では設定してください。なお、最初設定できるスキルは5つまで。しかし、スキル枠に上限はございませんので、ゲーム開始後、スキルを集めることが可能です』

「そうだなぁ〜。悩むなぁ~」

なんて言いながら実は全く悩んでいない俺。

実は獲得するスキルはすでに決めていたのだ。 

『拳術Lv1』『料理Lv1』『裁縫Lv1』『調合Lv1』『錬金術Lv1』を設定する。

がっつり生産職ですね、はい。

『拳術』は戦闘用スキルだが、それ以外は戦闘に関してはゴミ。

死にスキルと化す。

そして、『満腹度』という制度が存在しないTSOにおいて、料理スキルはゴミスキル。

しかし、それでいいのだ。

だって、オンラインゲームで生産職するのって、男のロマンだろ?

『設定しました。これですべての設定が完了しました。では、TSO──トゥルー・ストーリーズ・オンラインをお楽しみください。我々は常に応援しています』

右手を振る笑顔のどピンクツインテールの女の子を見たのが最後に、俺は最初の街『ルルド』の大地に立っていた。