【短編集】とびっきり、甘いのを。





「こ、廣祐…」




そこにいたのは、夢にまで見たキミで。


やっぱり日に焼けた肌に。

白い歯に。

少し短くなった髪。



会いたかったよ、会いたかったけど!




「何で今なの……!」

「えっ、何が!?」




私、メイクしてないのに。

こんな適当な格好なのに。



廣祐に会えるって分かってたら、ちゃんとメイクしたし。

新しいワンピース着てきたし。


アイスキャンディー食べながら歩いたりしてないのに……!




嬉しいけど、嬉しくない。

会いたかったけど、会いたくなかった。


ダサいって思われたらどうしよう…。

引かれたかな、それともそんなこと興味ないかな…?






「て、いうか…なんでここにいるの…?」


「友達の家に遊びに行くところなんだよ。

そういえば奈々の家もこの辺だっけ?」




そっか、そういう可能性があるのか。

家が遠いからって、会わないわけじゃないのか。


なんで私、こんなヨレヨレのティーシャツで外に出ちゃったの、ばか!