「入れてよ、傘」 少し逸らした視線とか、ぶっきらぼうな言い方とか。 そして、少し赤い頬とか。 その理由に期待してしまうけど。 …だけど私は、やっぱり可愛くない。 周りにみんながいるから恥ずかしくて。 ううん、ふたりきりだってきっと言えなかったけど。 「……私、好きな人としか相合傘したくないから」 ぽん、と傘を開いてそう言うと、怪訝そうな顔の陽介。