【短編集】とびっきり、甘いのを。




「夜にこんなところにいたら危ないだろ、来るなら連絡して」


「…ごめんなさい」





久々の恭ちゃんの家に、少し緊張する。




「で、急にどうした?」



なんだかいつもより不機嫌で。

それは私が迷惑ばかりかけてしまうからで。


だけど私だって、不安だったんだから。





「…怒ってんの?

ほら、機嫌直してよ」




何も言わない私に、恭ちゃんが棚の中から取り出したのは、苺キャンディ。




「っ、いらない…」


何故だかわからないけど、じわりと涙が溢れた。




「え…」


「子供扱い、しないで…」