【短編集】とびっきり、甘いのを。




「あれえ、もしかして彼女ちゃん?」




マイペースなその女の人の声は、この前電話で聞こえた声と多分同じで。




「本当に資料取りに来ただけだよ?

私、彼氏いるし!」



「え……」




そう言った彼女は、本当に資料だけを受け取って帰っていった。




「…本当に浮気じゃねえの?」


「違うよ」



「じゃあ、苺のこと不安にさせてんじゃねえよ!」




睨みあう二人。

慌てて拓巳を抑える。




「ごめん、拓巳!

私が勝手に不安になっただけなの、恭ちゃんは悪くなかったのにー…」




「こんなに泣かすなら、俺が貰うよ」




拓巳の言葉に、驚いたのは恭ちゃんよりも私で。