【短編集】とびっきり、甘いのを。





「まだ昼だし、仕事中だよなぁ…」




時計を見てため息をつく拓巳。



「…ありがとう、拓巳」

「ん?」


「心配してくれて、ありがとう」



ちょっと強引だけど、拓巳はいつだって私を助けてくれる。

背中を押してくれる。



ばーか、なんて照れて目をそらす拓巳に、クスッと笑ってしまう。



結局、どこかに出かけるほどの時間もなくて、駅のカフェで時間をつぶした。




「うー、緊張して吐きそう」


「もうちょっと可愛い表現にしろよ…」




いつもは飲むと幸せになれるフラペチーノも、今日はなんだか味がしない。


恭ちゃん、私が来たら驚くかな。

……面倒くさいって、思われたらどうしよう。