【短編集】とびっきり、甘いのを。





「あっ、あの、黒澤くん…」




爽やかくんから目線を外した陽奈と、偶然目が合って。

今気付いた、みたいなその態度にムカついて。


こんなにも俺の調子を狂わせる陽奈に、イライラして。






「…」




何も答えずに、背を向けた。


陽奈からしたら、何もしてないのに俺に無視されて。

今までうざいくらいに絡んできたやつに突然素っ気なくされて。


この苛つきの正体が自分勝手な嫉妬だってことはわかってるけど。





…いや、陽奈は何も気にしていないかもしれない。


いつも意地悪してくる人がいなくなって、ラッキーなくらいかもしれない。




「……」