【短編】ご主人様は生徒会長

「悪いけど、最初はそうやった」


そう言われて、私はやっぱり、と少し肩を落とした。
手首だけじゃなく、肩も掴まれた。


「でも、今は兄さんを抜きにしても、お前の事は気になってる」


私の顔はまた、耳の奥まで熱い。
慌てて顔を隠そうとするけど、もう片方の手首も掴まれて動けない。


「その顔は、お前もそうなんやな」


生徒会長がニヤリと笑った。


「ち、ちがいますっ! はなしてください」


私はジタバタと暴れる。
力では全然叶わないのは分かってる。

無駄な抵抗すぎる。


「せ、生徒会長は立花さんと付き合ってるのかとおもってましたっ!」


この場の空気を少しでも変えないと、気持ちが耐えられない気がしたので、一度立花さんに“付き合ってない”と言われたのに、つい言ってしまった。


「ああ…それはないわ。 あいつ、女が好きやから」


私の頭に石がぶつかったような衝撃がした。


そ、そうなんだ…。


「おまえ、話はぐらかそうとしてるやろ」


生徒会長は少し怒ったような顔をしている。
私は慌てて顔を横に振った。


「生徒会長が大阪に住んでたなら、み、満さんもですよね?なのに全然関西弁話さないなー。なんて…」


顔をまともに見れないのでチラチラと顔を見ながら話す。


「兄さんはこっち住んでたほうが長いからな。あんま話さへんねん」


「そ、そっかー…」


…話題がなくなった。

私は固まる。


「“俺のことをすきになれ”って命令、覚えてるか?」


「そんな命令、きけませんって言いました」


「じゃあ…俺がお前を好きなるのは、ええか?」


生徒会長の顔がどんどん近づいてくる。

心臓の音が忙しくて、顔が火照るし、頭がボーッとしてくる。



「…いいですよ」


俯きながら小さく呟く。

小さくて、聞こえなかったかもしれないから、顔をあげて、もう1回言う事にした。


「私のことを好きになっても、いいですよ」


「…メイドのくせに、生意気や」


そういって、生徒会長は私にキスをした。