今回で顔を合わせるのは3度目となるけれど、今日はまた一段と仕立ての良い高級そうな濃紺のスーツに身を包んでいる。
「随分と遅いお出ましだったじゃないか。逃げたかと思ったよ」
「――逃げませんっ」
両手で拳を握って振ると、東城寺ルイがニヒルに笑う。
「それで?」
「え?」
「来て早々、今度はどこへ?」
「……ちょっとトイレにでも行こうかと」
「そうだな。確かに行った方がいいかもしれない」
……どういう意味だろうか。
考えているそばから、東城寺ルイの手が伸びてくる。
「リボンが曲がってる」
「えっ……」
ウエストにあしらわれたリボンが彼の手によって手直しされたのだった。
エレベーターの中で見た鏡では、髪の毛にばかり気がいってしまって、全く気付かなかった。



