しかも、この女性との結婚を破棄してまでだ。
高く見積もって振り向いてくれたとしても、ちょっとした火遊びで終わり。
縁談を壊すほどの破壊力はないだろう。
それなのに、東城寺ルイは私を上から下まで見定めた後、「ああ」と頷いた。
そんな自信が一体どこから湧いてくるのか。
全くもって不可解な人物だ。
「でも、どうしてこの二人を引き離すんですか?」
「簡単なことだ。その二つのホテルが合併ということにでもなれば、うちのホテルとの地位は逆転してしまう。やすやすとトップの座を明け渡すわけにはいかない」
私の質問に、東城寺ルイは顔色ひとつ変えないで言い放った。
「つまり、この結婚は、」
「政略結婚だ」
言いかけた私の言葉を東城寺ルイが続ける。
「二人の間に愛情などというものは存在しない。親同士、いや、会社同士の決めた結婚にすぎないからな」



