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麻緒ちゃんと達哉くんが帰り、妙な緊張の中、時計と睨めっこをする。
今夜は、例の約束の夜だったのだ。
ガラス扉の向こうにこの前と同じく黒塗りのリムジンが停まったのは、壁掛け時計が7時25分を指し示したときのことだった。
約束の時間の5分前、ドアが開けられ、入って来た東城寺ルイ。
今夜もまた、高級仕立てのスーツに身を包み、これから話すことには不釣り合いなほどに、爽やかな空気を引き連れてきた。
そして、その後ろからは、例のごとく空気と変わらぬ存在の西さんが忍び込むように入る。
「結論は出たか?」
開口一番がそれかと、ちょっとした憤りを感じつつ頷いた。
「それで?」
どちらにするのかと、東城寺ルイが私の目の奥を覗き込む。
いざ決意表明となると、既に決めたこととはいえ口が重くなる。



