「急ぐぞ」
「あ、達哉くん、麻緒ちゃん、ごめんね。ちょっと外出してくるから、お店頼める?」
私を強く引き寄せたルイの肩の向こうに言葉を投げかける。
「も、もちろんです」
完全なる傍観者と化していた二人が何度も頷いた。
「二人とも、不真面目な経営者で苦労を掛けるな」
そうさせているのは誰だ。
ルイなりに労いの言葉だとでも思っているんだろうか。
達哉くんも麻緒ちゃんも私に遠慮してか、「いえいえ」と大袈裟に否定したのだった。
恭しく頭を下げた西さんが開けてくれたドアから外へと出ると、てっぺんに登りきった太陽の眩しさに目を伏せる。
頬に感じる風には春の訪れを感じた。
思わず立ち止まった私を引き寄せると、ルイが私の耳元に唇を寄せる。
「悪いが、パーティーの後、店に戻る時間を与えられそうにない」
「……どうして?」
「今日は莉夏を片時も離したくなくなった」
「でも、」
「大丈夫だ。あの二人だって分かっているだろう」



