「いいじゃないか、3ヶ月ぶりに会った挨拶だ。それとも、唇じゃなくて物足りないか?」
「ち、違います!」
「もう少しの辛抱だ」
「だから、」
「皆を待たせているから行くぞ」
そういうことじゃないのに。
ルイは私を引き寄せたまま、店の出入口に向けて歩き出した。
「ちょっと待って」
「まだ何かあるのか」
「私、こんな洋服だよ……」
カジュアルなパンツスタイル。
婚約披露パーティーの主役とは思えない格好だ。
「心配はいらない。着替えなら用意してある」
ルイは口角を上げてニッと笑った。
そうだった。
ルイはこういう人だったのだ。
何につけても用意周到。
抜け目がないのだ。
ただ一つ精細さを欠いたことがあるとすれば、私との出会いだったかもしれない。
こうなるとは思いもしなかったはずだ。



