達哉くんが緩衝剤をカッターで慎重に切り分けながら言った。
その言葉に甘えてしまおうかとも思ったけれど。
「ううん。一緒にやるわ」
何かをしていた方が気が紛れる。
一人で奥に籠ったりしたら、余計なことばかり考えてしまうだろうから。
「カッター貸して?」
手を出すと、達哉くんはニコッと笑って「扱いには気を付けてくださいよ?」なんて、今更なことを言って私を和ませてくれたのだった。
そうして届いた荷物の整理も終わって、店への陳列も済んだ閉店間際のことだった。
店の入口のドアが開けられると、遠慮がちに中を窺う女性客が一人、入ってきた。
「いらっしゃいませ」
三人がそれぞれに声を掛ける。
年齢は50代後半といったところか。
薄紫の上質なスーツを着こなした、上品なタイプの女性だった。
その年代がこの店に訪れることは滅多にない。



