それは危険なラブミッション


◇◇◇

真っ青な空にそびえる巨大な建物。
周りのビルとは一線を画した重厚さは、目の前に建つと圧倒されてしまう。

東城寺ホテル。
そこへ来ていたのだった。

店まで迎えに来てくれたルイにエスコートされて、射し込む外光が眩しいほどのエントランスをくぐった。
大理石のフロアに二人の足音が響く。
緊張の波が押し寄せてくる中、それをひと時でも忘れようと、話題を探して頭を巡らせる。


「……ねぇ、ルイ、あの携帯はどうしたらいいの?」


岬さんの元に置き去りになったままの携帯のことだ。


「あれなら、岬にくれてやる」

「え?」

「わざわざ取りに行くまでもない。解約してやった」

「……」


一瞬の間の後、思わず吹き出した。