「あの方?」
何人かの顔が候補に挙がった中で、ルイだったらいいなと微かな期待を抱く。
それがうっかり顔に出てしまったのか、麻緒ちゃんがクスっと笑みを漏らした。
公私混同は避けてきたはずが、一瞬の隙をついて気が緩む。
このところの私は、本当にダメだ。
もっとシャンとしなければ。
頬を引き締めて店内へと出ると、期待通りのルイの姿に心の中は浮足立つ。
右手を軽く上げて微笑むルイに、嬉しさが込み上げた。
数秒前の決意は一体どこへ。
「近くを通りかかったから、顔を見に来た」
「そう」
麻緒ちゃんと達哉くんがいる手前、素っ気ない返事になる。
本音では、些細なサプライズに飛び上がっている私。
最後に会ってからたったの2日だというのに。
西さんに言われたことが引っ掛かりながらも、ルイを前にすれば都合の悪いことは吹き飛んでしまう。
麻緒ちゃんと達哉くんの好奇に満ちた視線の痛さに、ルイを引っ張って店の外へと出たものの、店の前に停められたリムジンを見て、一瞬ギクリとした。



