そうなると睨んでいたらしいから、本当に夕菜には適わない。
自分でも掴みきれない私の気持ちが、夕菜には丸わかりなのだから。
「莉夏と東城寺さんのことはともかく、岬さんがそうくるとは思わなかったな」
「……私もちょっと驚いてる」
「騙されていたのにね」
「うん……」
“騙す”という言葉が、やけに胸に突き刺さる。
こんなことになるとは思いもしなかったなんて、無責任すぎる30歳だ。
自分の店を守るという、私欲のためだけに突っ走った結果がこれだ。
「なんかごめんね。私がけしかけたりしたからだよね」
「夕菜のせいなんかじゃないよ。決めたのは私なんだから」
岬さんには誠心誠意謝るしかない。
多分、私のことを欲しくなったというのは、騙された反動みたいなもの。
本心ではないはず。
鳥居さんとのことをもう一度考え直してもらって、ルイへの借金は何年かかってでも返していこう。
最初のステージに戻る。
それが一番だ。



