「おっと……危ないじゃないか、莉夏ちゃん」
その反動で、マスターは持っていた食器を落としそうになった。
「ごめんなさい」
「借金って、莉夏ちゃんの御両親の話なのかい?」
「……そうなの」
「そうか……」
マスターの顔が途端に曇る。
「どうしたのよ、マスター」
夕菜に問いかけられて、「ん? あぁ……」と曖昧な返事をする。
持っていた食器をアルバイトに渡すと、マスターは腕を組んで考え込むようにした。
「莉夏ちゃんの店って、御両親の遺産で開いたんだったよな?」
「うん」
クリーニング店を畳んだときのお金を使ったのだった。



