◇◇◇
待機させていたらしいお馴染みのリムジンに乗り込む。
ルイの眉間には寄ったままの皺。
腕組みに足組み。
岬さんに曲げられた機嫌は、まだ直らないようだった。
「ところで莉夏、どうして勝手に帰ろうとした?」
「どうしてって……なんだかお邪魔みたいだったから」
「邪魔?」
ルイがポカンと口を開ける。
「……もしかして妬いてるのか」
「べ、別にヤキモチなんて」
覗き込まれた顔を背けて否定する。
確かにその通りなのだけれど、ルイにはそれを気付かれたくない。
「素直に認めた方が可愛げがあるというものだ」
「可愛くなくて結構です」
「でも、なかなか気分がいいな。莉夏にヤキモチをやかせるというのは」