「どこへ行くつもりだ」
「帰ろうと思って」
「ならば送る」
「ううん、いい」
「なぜだ」
「だって……」
ルイの数メートル後ろには、不安そうに手を胸の前で組んで立つ鳥居さんの姿が見えたのだ。
多分、鳥居さんはルイを待ってる。
「だって何だ」
「……彼女はいいの?」
目を見開いた後、ルイが後ろを振り返る。
「いいも悪いもないだろう。莉夏を一人で帰すつもりはない」
トクンと揺れる鼓動。
たったそれだけの言葉で、嬉しさがこみ上げる私は相当単純だ。
「悪いが帰らせてもらうよ」
鳥居さんに向けてそう告げると、彼女は「えっ……」と声を詰まらせた。



