『今夜、会えるかな』
「今夜、ですか……」
『急用がなければ、会いたいんだけど』
用件は、一つしかない。
それなら会わずに、今この場で私の気持ちを打ち明けてしまおう。
「あの、岬さん、私――」
『東城寺ルイも来るよ』
「えっ……?」
私の言葉に被せるように、岬さんが予想もしなかったことを告げる。
聞き違い……?
『東城寺ルイも呼んでる』
私の耳がおかしかいわけではなかった。
岬さんは、さっきよりもはっきりとそう言ったのだった。
どうしてルイまで?
『莉夏さん? 聞こえてる?』
「あ、はい、すみません……」
『今夜8時、ケープホテルの最上階にあるラウンジで待ってるから』
「あ、あのっ……」
岬さんは、私の返事も待たずに電話を切ったのだった。
ルイも呼んだ理由を聞いたところで、恐らく教えるつもりは岬さんにはないだろうけれど、私からの質問をシャットアウトするようにして切れた電話を持ったまま、しばらく呆然としてしまった。
私の気持ちを聞くためなら、ルイを呼ぶ必要はないはず。
それじゃ一体どうして?
見当もつかない岬さんの言動は、私に嫌な予感を抱かせるばかりだった。



