「……闇金の取り立てでも来たの?」
私に耳打ちする。
さすがに、通常の声のボリュームでは大きすぎると思ったらしい。
夕菜の質問に首を横へ振った。
「それじゃ何?」
「取引先だったっていう会社の社長さんが、夕べお店に来て」
「取引先?」
夕べもらった名刺をバッグから取り出して夕菜に見せた。
それを手に取り、夕菜がまじまじと見る。
「……東城寺ホテルって、あの?」
この店、木漏れ日からも歩いて行ける距離に、東城寺ホテルグループのホテルが建っている。
店から出れば、左前方にその巨大な姿の一端を確認できるはずだ。
「うん……。そこの二代目なのかな、社長が来た」
「ホテルのクリーニング関係で下請けでもやってたのかな」



