「女性はハンカチがないと困るだろう」
「だからって、一日くらい何とでもなるのに」
「俺のせいで手が拭けなくて困ったと言われたら心外だからな」
「そんなことでルイを責めたりするほど器は小さくありませんから」
言い返すと、ルイはニヤリと笑った。
「とにかく、それは受け取れ――って、随分と冷たい手だな」
私にハンカチを押し戻した弾みで手が触れたのだ。
「一体何時からここにいるんだ」
「何時って……」
お店が終わってからずっとだとは言えない。
何時間も待っていたなんて知られたら、またルイに勝ち誇ったような顔をされるだろうから。
「ともかく、中へ入れ」
「え?」
「他に何か用事があって来たんだろう?」



