この部屋には何人の女の人が入っただろう。
あのベッドで、何人の女性と――……って、私、どうかしてる。
変なことが頭の中をチラつきそうになって、慌ててそれを追い出した。

ベッド以外には何もない、殺風景ともいえる部屋。
これなら、ソファ以外にもう一つ一人掛け用の椅子を置いてもいいかもしれない。

ソファを配置し座って見える風景を確認しようと何の気なしに腰を下ろすと、そこには同じことを考えたらしいルイがいた。
その距離が思いのほか近くて、バッチリ合った視線をぎこちなく外す私。
……挙動不審もいいところだ。


「ここで大丈夫そうね。もう一脚、椅子を置こうと思うんだけど、どこがいいかな。あ、あそこは? それともこっちがいいかな」


やけにうるさい鼓動を誤魔化そうと必死になる。
あちこちに視線を向けたところで、全く目になんて入ってもいないくせに。
やっぱり私、どうかしてる。


「莉夏、」


不意に呼び掛けられて、ドキリとした。


「何?」


何にも動じていないふりを貫き通したまま答える。