◇◇◇
それは、その日の夜のことだった。
「この店にあるソファと椅子を全ていただこう」
閉店間際にお店に来たルイは、挨拶もすっ飛ばして開口一番そう言ったのだった。
あまりにも唐突すぎて、達哉くんも麻緒ちゃんも「はい?」と聞き返す。
私も口をポカンと開けてしまった。
「……全部って……全部?」
「そう言ったつもりだが?」
ルイが眉ひとつ動かさず答える。
全部と言ったところで、この店の中ではたかが知れている。
けれど、いくらなんでもここに置いてあるものを全てだなんて……。
「何に使うの?」
「椅子は座るものではないのか?」
「……そうじゃなくて」
「では何だ」
「どこに置くの?」



