……それとも、岬さんの言うように、本当に何か急用でも?
いろんなことが一気に押し寄せる。
それを処理しきれず、鼓動が嫌な音を刻んでいく。
岬さんの手から携帯が手渡された。
恐る恐る岬さんの顔を見ると、口元には微かに笑みが浮かんでいたものの、感情の読み取れない眼差しが向けられていた。
「すみません……」
他に言葉は見つけられない。
包まれていたはずの清々しい海の空気が一変したように感じた。
「掛け直したら?」
「いえ、後で大丈夫です」
「僕のことなら気にしなくていいよ」
それは本心からなのか、それとも私を試しているのか。
岬さんは穏やかな表情で私を見た。
ルイからの着信が全然気にならないかと言ったら嘘になる。
しつこいほどに鳴らされていたというなら、何か困ったことでもあったのかもしれない。
そういう方向に考えが一旦進んでしまうと、どんどん気になっていく。



