「ちょうど腹ペコだし、それも持って行こう。確か、レジャーシートがトランクにあったはず」
後ろへ回り込み、トランクを開けて中からシートを取り出すと、今度は後部座席に積んでいたお弁当の入ったバッグを持ってくれた。
「行こうか」
岬さんの両手が塞がっているせいで、いつものようなエスコートがないことに、正直ホッとする。
どうもあれは慣れないのだ。
季節外れの平日。
さすがに人出は全くない。
サラサラに乾いた砂に足を取られながら、岬さんの後を追っていく。
ほんのちょっと前まで雨の中にいたとは思えない。
海面に太陽が乱反射して眩しいほどだった。
「この辺にしよう」
岬さんが立ち止まってシートを広げた。
風に煽られることも砂が舞うこともなく、驚くほどに穏やかな砂浜。
少しひんやりとした空気が、かえって心地良かった。
バッグからお弁当箱を取り出す。



