『莉夏? どうした?』


押し黙った私にルイが問い掛ける。


「ううん、何でもない」

『……惚れたか?』

「――え!?」


なぜだかギクリとした。


『岬蒼衣に』


……そっち、ね。
って、私、今何にビクついたんだろう。


「そんなことない」

『惚れてもいいんだぞ。結婚さえ壊せればいいのだから』


それがルイの最大かつ、たった一つの目的。
最初に宣言されたことだ。
それなのに、どうしてなのか、ルイの言葉が私の胸にチクチクと鈍い痛みを走らせた。


『それじゃ、切るぞ』

「――あ、ちょっと待って」


思わず引き止める。