「岬碧衣と申します」
律儀に立ち上がって、夕菜へ頭を下げる。
「莉夏から聞いています。お世話になりっぱなしだと」
「お世話ということは全然ないですよ」
紳士的に微笑む。
夕菜はそのまま私へ目線を移し、「例の?」とこっそり口パクで尋ねてきた。
それに頷くと、どういう意味なのか、夕菜はニヤニヤしながら小刻みに頷いたのだった。
「早速ですが、何にいたしましょうか?」
「莉夏さんは何を注文したの?」
「私は、」
「はい、お待たせ」
ちょうどタイミングよく、マスターがカウンター越しにいつものふわとろオムライスを出してくれた。
「これです」
説明するまでもなく指差す。



