「ごめんなさい、受け取れません」
「いや、そうじゃなくて」
「はい?」
「対価を払ってもらえばいいんだよね?」
……対価?
何のことか分からず、首を傾げる。
「これをあげるかわりに、少し早いけどランチに付き合ってもらえる? 僕、お腹ぺこぺこなんだよね」
「え、でも……」
きっと、そのランチも御馳走しようとしているに違いない。
それじゃ、ますます借りが増えてしまう。
「それなら、そのランチは私に支払わせてください」
「そんなことは気にしなくていいから」
「ダメです。それじゃ、対価になりませんから」
ランチくらいで補える値段とも思えないけれど、それしか道はなさそうだ。
お互いに引かないまま見つめ合う。
優しい眼差しに吸い込まれてしまいそうになりながら、なんとか持ちこたえた。



