それは危険なラブミッション


本社からは歩いて10分程度。
ついこの間、パーティ潜入でやってきたケープホテルが見えてきた。

不審者として怪しまれるのも困るし、ボーっと突っ立って待つのもスマートじゃない。
コーヒーの飲みすぎでお腹は一杯だけれど、ロビーのカフェで待つしかなさそうだ。

ところが、エントランスを入ってすぐ左手にあるカフェに向かって歩き出したときのことだった。
履いていたピンヒールのパンプスに違和感を抱いて立ち止まる。


……なんだろう?


目線を落としながら、かかとをトントン。
すると、信じられないことに、ヒール部分がグラリと揺れたのだ。


――え!?


そうしているうちにも、その部分がパカっと外れ、無残にもフロアに転がった。


――嘘でしょう!?
こんな大事なときに――。

慌てて拾い上げたものの、片足はヒールを履いたまま。
もう片方は、ストッキングの足でフロアに爪先立ち。
なんて不格好な立ち姿だろう……。