恋の種をひとつぶ




……いた。



「~お、おはよう!!」



どきっと心臓が跳ねるのと同時に、わたしは、あいさつを口にした。


緊張した声。でも、ずっと喉もとに準備していたからか、裏返ることはまぬがれた。


声をかけられた大熊くんは、二度まばたきをしてから、「……おす」と短いあいさつを返してくれた。


たった二文字の言葉だ。

それなのに、ぶわあっと、胸のあたりがあたたかくなる。


視線が交わっていたのは、ほんのわずかな間だけ。


大熊くんは、わたしからすぐに顔をそむけ、窓の方へと視線をやった。


机にひじをつき、手のひらでほおを支える。


その腕には、しっかりとした筋肉が、うかびあがっている。