気付けば30を越し、早くして結婚した愛しい奥さんと可愛い双子の娘たちを持った僕はふと、考える。


あの時、僕を苦しめていた鎖は何一つ切れていなかったんだなと。


何度も何度も苦しみから逃れたくてその不完全に連鎖するものから開放されたくて絶ち切ったはずだった。


けれど、


それは思い違いだった。


あの時、僕を苦しめていた鎖は未だ僕の体にしっかりと巻き付いている。けれど、それは決してあの頃のようにもがき苦しむものではなく僕と僕の周りの大切な人達とを確実に繋いでくれているものなんだ。


と、僕は思う。


あの時、不完全な連鎖を起こしていた重い鎖は今、新たな連鎖となり、そしてまもなくこの世に誕生するであろう小さな命もまた絡め繋いでくれるだろう。それは、


ーーー完全なる連鎖


カチンとまた一つ鎖が繋がる音が僕の頭に響いた。


また始まるであろう新たな物語。


僕らの青春はまだまだ終わらない。