ドキドキしすぎて、心臓が痛いよ。

待ち合わせ5分でこんな風になってて、今日一日大丈夫なんだろうか??


「あんまり、ドキドキするような事言うの禁止ねっ!! じゃないと、1日もたないから」

私は思わず顔を背けてしまう。
結城くんはクスクス笑ってる。

歳上の私の方が余裕がないっていうのは、かなり悔しい。


「あと・・・もうセンセイじゃないよ」

私は顔を背けたまま、小さく呟く。

「・・・そっちこそ、あんまり俺を期待さすような事言うの禁止ね!

じゃ、行こっか。 桃子」

結城くんはそう言うと私の手を取って、歩き出した。


繋いだ手はとても暖かくて、心地よい。


一年前までは男の人と手を繋いで歩くなんて考えられなかったのに・・


恋って偉大だ。


「それにしてもさー、本当に卒業までデートもしてくれないとはねぇ」

「そんなの、当たり前じゃないの。退学にでもなったら大変だし」


「まぁ、そうなんだけど。

散々待たされたんだし、このくらいは許してくれる?」

「きゃー! 何してるの!?」

「何って、キス?」

「こんな公共の場所でっ・・」

「誰もいないじゃん」

結城くんの綺麗な顔がじりじりと近づいてきて、心臓が爆発しそう。

え〜キスってこんな道の真ん中でしていいものなの!?


「・・・ぶはっ」

「へ?」

結城くんが盛大に吹き出した。

「ごめん、冗談!冗談だから、そんな面白い顔しないでよ」

「面白い顔って、ひど・・」

「ふっ。キスはデートの最後のお楽しみにしとくから」

結城くんが耳元で囁く。

「もぅ。それも冗談って言うんでしょ。
同じ手には乗りませんよー」


私が頬を膨らませてそう言うと、結城くんは楽しそうに笑った。


「冗談かどうかは最後まで内緒!」




デートはとても楽しかった。

だけど・・・

私と結城くんのファーストキスがこの日だったか、また別の日だったのかは、二人だけの秘密♡





END