「広人、お疲れさん!
お前のおかげで売上すげーんだよ。
マジで儲かってる」

「よっしー。 人をこき使い過ぎ・・・
何で俺だけ休み時間ないんだよ」

俺がぼやくと、よっしーはケロリとした顔で返してきた。

「広人が客引きしないと、客来ないからに決まってんじゃん。
イケメンの浴衣姿が女子を呼ぶんだ!」

和風カフェということで、俺達は浴衣を着ていた。
よっしー曰く、浴衣は女子ウケがいいらしい。

「お肌のコンディションが悪くなったら、どう責任取ってくれるんだよ〜 ミスター3連覇がかかってんのにさ」

ミスターコンは夕方からだけど、マジで疲れ果ててそれどころじゃない気がする
・・・



「あっ、桃ちゃーん!!」

よっしーの叫び声に顔を上げると、今日も地味なスーツ姿の桃子センセイと目が合った。

「二人ともお疲れさま。 大盛況じゃない」

「でしょー。 儲けが出たら、桃ちゃんにも何か奢ったげるよ」

「ほんと? 楽しみにしてるね」

よっしーと無邪気に笑い合う桃子センセイは幼くて、まるでクラスメートのように見える。



「よっしー、俺ちょっと休憩!!
桃子センセイ、きて」

よっしーの返事は待たず、俺は桃子センセイの手を引いて歩き出す。