密室の恋人

 



 外で食事をして、蒼汰の言うところの煮詰まった珈琲を飲みながら、凛子はぼんやりと庭を眺めていた。

「すごい空の色ですねえ。

 嵐のあとって、空も一掃されたあとみたいで、綺麗ですよね」
と呟くと、

「お前は、台風一過を台風一家だと思ってたクチだろう」
と言われる。

「そうですよ。
 そして、未だに、汚職事件が、お食事券に聞こえます」

 そう素直に認めると、
「俺もだ」
と言うので、笑ってしまった。

 如何にも切れ者のビジネスマン風の蒼汰が言うので余計に可笑しい。

「だって、汚職事件なんて言葉、普段、使わないじゃないか。
 お食事券だろう、やっぱり。

 なにか違う言葉にすればいいのに」
とケチをつけ始める。

「じゃあ、蒼汰さんが、なにかいい言葉を考えてくださいよ」

 そう言い、伸びをした。

「そうだ。
 掃除しなくちゃですよね。

 綺麗にして帰らなくちゃ」
と言うと、

「お前、帰る気満々だな」
と言われる。