密室の恋人


 



「こんばんは。
 雨宮凛子ちゃん」

 やあ、ようやく、君と喋れたーー。

 そうまるで少年のようなあどけない顔で、蒼汰は微笑んだ。

 え、とベッドの上で固まる凛子に彼は言う。

「今日はエレベーターじゃないのに、僕が見えるんだね?」

 やはり、この人は、あのエレベーターで見える霊の人なのか、と気づいた。

「見えるって言うか。
 貴方、今、蒼汰さんの中に入ってるんですけど」

 そう言うと、自らの身体を見下ろし、ほんとだ、と笑う。

「なんで、蒼汰の中に入れたんだろうね」

「あの……貴方、誰なんですか?

 何故、蒼汰さんに憑いてるんですか?

 何故、エレベーターの中でしか見えないんですか?

 何故、蒼汰さんと同じ顔なんですか?」

 彼は笑い、
「そんないっぺんに訊かれたら答えられないよ。

 っていうか、答えられないよ。
 僕にもわからないんだ。

 気がついたら、蒼汰に憑いてた」
と言う。

「むしろ、僕の方が訊きたいよ。
 なんで、君にだけ、僕が見えるのかな?」