密室の恋人

「……俺と?
 どうやって、浮気するんだ?」

「あの、昨日、蒼汰さんが変貌して」

「変貌?」

「いつもみたいに威圧的じゃなくなって、優しくなって」

 おい……。

「にっこり笑って、
『こんばんは、凛子ちゃん』って。

 もうその言い方からして、貴方じゃなかったんですよ」

「それ、本当に俺が?
 お前、夢でも見たんじゃないのか?」

 本当ですっ、と凛子は強く主張する。

「だってーー」
と言いかけ、彼女は言葉を止めた。

 なにか言いにくいことがあるようだった。

「だって、なんだ?」

 そういえば、今、浮気したとか言ったか? と思っていると、かなり迷ってから彼女はその言葉を口にした。

「だって、その蒼汰さんにキスされたんです。
 全然貴方と違ってた」

 首を傾げてしまう。

 俺が凛子に?

 記憶もないうちに?

「あれ、絶対、貴方じゃないですっ」
と凛子は訴えてくる。

「なにかあれですか?
 ストレスに寄る二重人格とかっ」

「なんのストレスだ」

「……え。
 モテすぎてとか?」

「自分で言ってて、説得力ないと思わないのか」