密室の恋人

「なんにも隠してませんよっ。

 あ、今日はまた、一段とプール綺麗ですね。

 空が青いから、プールも真っ青に見えますねー」
と言いながら、少しずつ身体をずらし、腕の中から逃げ出そうとする。

「凛子」

 低い声で、少し脅すように呼びかけると、凛子は、しゅんとしてしまう。

「……ごめんなさい」
と項垂れるので、ちょっと可哀想になってきたが、まだ喋りそうにないので、そのまま視線で脅すと、凛子は口を開いた。

「私、昨日、浮気してしまいました」

 浮気?
と不審げな顔をすると、

「いえっ。
 別に蒼汰さんと付き合っているわけではないので、浮気と言うのも変なんですが」
と言い直してくる。

 いや、俺が引っかかってるの、そこじゃねえだろ、と思った。

「莫迦。
 この無人島で、どうやって浮気するんだ?」

「蒼汰さんとです」

 相変わらず、驚くようなことを言い出す女だ、と思った。