密室の恋人

 もう嵐は止んでいた。

 少し葉っぱが散らかっていたが、天気がいいので、外の椅子も乾いているようだった。

 滑らかなフォルムのデッキチェアに腰掛け、ぼんやり空を眺める。

 いい天気だ。

 少し船で走ってもいいが、そしたら、凛子はそのまま帰ろうと言い出すだろうな、と思っているうちに、意外に手早く料理を作ってきた凛子が、お盆を手に、

「此処で食べますか?」
と訊いてくる。

「そうだな」
と手伝おうとそのお盆を取ろうとすると、凛子はビクリと後退し、

「私がやりますっ。
 どうぞ、そこに座っててくださいっ」
とお盆を小さなテーブルに置いて、逃げようとする。

「待て」
とその首根っこを掴んだ。

「お前、なにか俺に隠してるだろう」

「なっ、なにも隠してませんっ」
と逃げようとするが、力の差がありすぎるので、もちろん、逃げられはしない。

「あっ」
と蒼汰がプールの方を見ると、凛子は、

「えっ!?」
とそちらを見た。

 抵抗する力の方向が変わる隙にひょいと腰を抱えて、凛子を持ち運ぶ。

 蒼汰はデッキチェアに腰を下ろすと、膝に凛子を乗せた。

「は、離してくださいっ!」

「凛子、なに隠してる?」

 逃げられないように、身体を腕でホールドして問うたが、凛子は目をそらしてしまう。