密室の恋人

 好みじゃないと言ったが、この声はかなり好みかも、と思っていた。

 特に、耳許で囁かれると。

 声だけで男前に見える人も居るけど。

 この人、本体もだもんな~と思っていると、蒼汰が呟くように言った。

「昨日は、お前に手を出そうか、どうしようか迷っていて寝そびれたんだが。

 実は、此処のところ、よく眠れないんだ」

 おかしな夢を見るーー と蒼汰は言った。

「エレベーターに俺は一人で乗っていて。

 一人が上に行って、下に行って、また戻る。

 たまに、止まって、扉が開くが誰も乗ってこない。

 壁の向こうに誰かがいると感じる。

 だが、それが誰だかわからないんだ」

 そこで言葉が切れた。

 そのまま、続きがない。

 凛子は少し考え、布団から出た。

「その夢ってーー

 蒼汰さん?」