密室の恋人

「でも、そういう理由で貴方と付き合うのは嫌です。

 だって、そのとき、私は蒼汰さんを好きになってるわけでしょう?

 なのに、飽きてボロクズのように捨てられるなんて」

「なんで、ボロクズだ。
 お前、ちょいちょい、俺を悪役に仕立てようとするな」

「だって、なんか悪役顔だからですよ。

 顔もスタイルも整い過ぎ、お坊っちゃまでみんなの人気者なんて。

 物語だったら、出来過ぎてて、逆に悪役になるポジションですよ」

「なにを言ってるんだか、よくわからないが……。

 そもそも、お前の好みはどんなんだ?」

「あ、ようやく私の好みとか訊いてくれましたね?」
と凛子はちょっと笑う。

「今まで、ほんっとうに、私の意志とかお構いなしだったですが」
と言ってみたが、蒼汰は、

「それは、聞いたところで、なにも変える気はないからだ」
と言う。

「俺は俺だ。
 それ以外の何者にもなれない」

 こういうきっぱりとしたところは嫌いじゃないんだけどな、とその顔を見ながら、凛子は思った。