密室の恋人






 二人で、映画を見ながらお酒を呑んで。

 昨日のことがあるので、かなり控えめに呑んで、寝ることにした。

「それではおやすみなさい」

 着替えは、蒼汰の母親のものがあった。

 お会いしたことはないんですが、お母様、お幾つなんですか、と問いたくなるくらい、乙女な感じのネグリジェとか。

 蒼汰は少し赤くなり、
「そういう人なんだ。
 なんというか、こう、浮世離れしていて」
と言う。

 夢見がちなお嬢様が、そのまま母親になった感じかな、と思った。

 下着も服も、全然着ないまま、買って忘れているのが幾つもあると言うので、明日の服も借りた。

 箪笥に匂い袋でもあるのか、新品の衣類特有の匂いはなく、どれもいい香りがしていた。

「それではおすやみなさい」
と廊下で、深々と蒼汰に頭を下げ、行こうとすると、

「待て」
と肩をつかまれる。

 ……あ、やっぱ、駄目?

「お前、食べたいだけ食べて、呑んで、ゆったり風呂にも入って。

 このまま、お休みなさいとぐっすり寝て、明日、帰ろうとか思ってるんじゃないだろうな」

「すみません。
 思ってました」

「人からなにかしてもらったら、その対価は必要だと思わないか」